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ロスカット あの日の涙 虹となる

NHKスペシャル「マネー革命」

NHKスペシャル『マネー革命』は、アメリカの金融業界の裏側に迫った1998年放送4回シリーズのドキュメンタリー番組。

時代はインターネット黎明期。

ウォール街を拠点としたヘッジファンドが金融工学を駆使して莫大な利益を上げる一方で、日本では一般投資家にはまだネットによる株取引が浸透しておらず窓口での取引をしていた頃の話である。

この番組の特筆すべきことは、欧米金融界の超大物の単独インタビュー成功に尽きる。

ジム・ロジャーズのNYの邸宅を訪れたり、ジョージ・ソロスと一緒に故郷のプダペストまで同行したり、CMEを仕切るレオ・メラメッドの生い立ちを訊いたり、今ではコンタクトしたくてもおいそれと接触できないような超セレブ大物投資家がこれでもかとばかり登場し、赤裸々に金融業界の内幕を語っているのである。

企画したのは当時のNHKの辣腕ディレクター相田洋氏。

NHK製作スタッフはそれまで歴史番組や社会派ドキュメンタリー、主婦や子供の為の生活情報番組を制作してきたが、金融にまったく縁がなかった。

そこでまず投資関係の本集めに奔走し、猛勉強が始まった。

スタッフルームにはなんと500冊もの本が積み上がったという。

1年にわたる取材・制作期間中、制作スタッフは数々の特ダネをつかんだ。

とりわけビクター・ニーダーホッファーへのインタビュー成功は、全米のマスコミを驚愕させた。

彼は、1997年10月のアジア通貨危機に遭遇し、たった1日で50億円もの損失を出し破産。

150社以上のマスコミから取材申し込みが殺到していたものの、それまで一切応じていなかったからだ。

実はこのスクープインタビューは、偶然と突撃取材の賜物だったらしい。

取材クルーは当時のマーケットを揺るがす破産騒動で有名だったヘッジファンドLTCMの取材で、まだ撮影許可が取れない中、せめて建物外観だけでも撮影しようとコネチカット州に飛んだ。

ところが、LTCMは別の場所に移転しており、撮影はまったくの空振り。

本来なら、番組のメインコンテンツは「世界最高と呼ばれたアメリカの投資ファンドの破綻」となる予定だったのであるが、その企画が頓挫しようとしていた。

途方に暮れるスタッフの1人が地図を見ると、同じく取材申請をしたものの2か月以上返事がないあの破産投機家・ニーダーホッファーの自宅が近くにあることに気付いた。

とりあえず場所の確認のためと、自宅前まで行った取材クルーは、ダメもとでインターフォンを押してみた。

アメリカでは住居不法侵入罪で訴えられることがあるので、アポ無し取材は御法度とされる。

ところが、驚くべきことにニーダーホッファー本人がクルーを敷地内に招き入れ、なんと1週間後にインタビュー撮影に応じたのだ。

世界中でたった1社、NHKだけが特ダネを掴んだ瞬間だった。

今日では、その貴重な映像がYouTubeで鑑賞できる。

すべてのトレーダー必見ともいっても過言ではない。

ニーダーホッファーは不世出の天才トレーダーと呼ばれていたわけだが、日頃から丹念にデータを分析し、比類なき情熱で相場に挑んでいたのがわかる。

インタビューに答え、破産の日を思い出し、思わず沈黙するニーダーホッファーが痛々しい。

最初見たときは、その場面では感情移入して涙ぐんでしまった。

なぜなら、僕も彼と同じように最初のサブプライム破綻で一瞬にしてサラリーマンの年収の何倍もの額の大金を失ったからだ。

あの心理的なダメージは実際に体験したものでないとわからないだろう。

忘れようと思っても、潜在意識の中に残り、一生そのトラウマが消えることはないのだ。

話はこれだけでは終わらない。

当時、この番組を見て衝撃を受けたひとりの日本人の大学生の若者がいた。

後に彼は株式投資を始め、自らのHNをビクター・ニーダーホッファーから取ることになる。

いうまでもなく、あのBNF氏である。(Victor Niederhofferというつづりなので、本来ならVNHもしくはVNFなのだが)

破産してもなお戦うことををやめず自らの能力を信じて再起に賭けるニーダーホッファーの真摯な姿に感銘を受けたのだろう。

もし彼がこの番組を見ていなかったら、株式投資であれほど成功していなかったかもしれない。

いわば当時のNHKスタッフの尽力が、日本最強のモンスタートレーダーを生むきっかけになったといえる。

そう思うと、また感慨深いものがある。

一見温和に見えるBNF氏の内面には、ビクター・ニーダーホッファーと同じような“熱きトレーダーのスピリッツ”が息づいているに違いない。

そのスキルはもはや、本物のビクター・ニーダーホッファーさえ凌駕しているのかのようだ。

ちなみに僕のHN、ジョンメリは、LTCMのボスである伝説のトレーダー、ジョン・メリウェザーから拝借した。

だから、BNF氏と同じく名前負けしないようにしなければいけない。
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[ 2018/02/06 05:14 ] 雑惑 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ジョンメリ

Author:ジョンメリ
こんにちわ。ジョンメリと申します。HNはLTCMのジョン・メリウェザーから頂戴しました。トレーダー歴約8年。2006年までは南ア通貨をスワップ金利目的で高レバレッジで運用。しばらく右肩上がりの相場が続き、わが世の春を謳歌していました。が、2007年8月17日にサブプライムローンに端を発する大暴落に遭遇。2008年はベアー・スターンズショックの下落で多大な損失を被り、マーケットから退場せざるを得ませんでした。精神的なダメージから一時は真剣に引退も考えましたが、ここにきてようやく傷も癒えました。現在はデイトレに手法を変え、再び外国為替取引に挑戦しています。

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