ロスカット あの日の涙 虹となる

アップルを創った男の物語

アップルのカリスマCEOであったジョブスの“非公認”の伝記。


スティーブ・ジョブズ-偶像復活スティーブ・ジョブズ-偶像復活
(2005/11/05)
ジェフリー・S・ヤングウィリアム・L・サイモン

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熱狂的なMac信望者が本書を読めば、ジョブスは決して優れた経営者ではなく、たいした設計技術もなく、部下をしかりつけてたくみに財をなした男として描かれていることに衝撃を受けるだろう。

とりわけ可笑しかったのは、初期アップルのエンジニアだったジェフ・ラスキンの彼に対する愚痴だ。


「他人の脳みそを盗むのはジョブズにとって普通のやり方さ。まず人のアイデアを鼻であしらっておいて、その1週間後には、素晴らしいアイデアを思いついたなんていいながら戻ってくる。そのアイデアというのは、もちろん1週間前に誰かがジョブズに話したアイデアなんだ。我々はジョブズのことを現実歪曲空間と呼んでいたのさ。」


そうした振る舞いは、やがて自らが起こした会社を追われるはめになる。

リベンジとして立ち上げたネクストステップも失敗に終わってしまう。

しかしながら、10代の頃から「一家に一台PCを所有する時代が来る」と予言した彼は、やはり特筆すべき先見の明があったのだろう。

そして、ジョブズ本人が他人に何と言われようとも自分が成功するという未来をまったく疑っていなかったところが凄い。

デザインに対する過剰なまでの美意識も、経営者としての範疇を超えている。

その執念が今日のアップルの成功に繋がっていく。

とくに復帰してからの功績は、彼の名声を一段と高めることとなった。

かっての社員で、後にBe社を設立したジャン・ルイ・ガセーは言う。


「民主主義に沿ってたんじゃ、素晴らしい商品なんて創れっこない。闘争本能の固まりのような独裁者が必要なんだよ。」


初期のアップルでは、社員が「週80時間、それが嬉しい」というTシャツを着て働かされたという冗談のようなエピソードもある。

アップルやジョブズに関してはいろいろな伝説が語られてきたし、既に多くの出版物があったが、ノンフィクションとして出色の出来だと思う。


「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」


彼は自分のやりたいことを発見し、そして成功した。

これほど幸福なことはない。

すっかり有名になったスタンフォード大でのスピーチの最後の台詞。


「Stay hungry,stay foolish」


なんとジョブズらしい言葉だろうと今さらながらに思う。

波乱万丈の人生を送った彼だからこそ説得力がある。

ちなみにジョブス本人は、この本に対してあまりいい印象を持っていないようだ。
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[ 2018/02/06 04:41 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ジョンメリ

Author:ジョンメリ
こんにちわ。ジョンメリと申します。HNはLTCMのジョン・メリウェザーから頂戴しました。トレーダー歴約8年。2006年までは南ア通貨をスワップ金利目的で高レバレッジで運用。しばらく右肩上がりの相場が続き、わが世の春を謳歌していました。が、2007年8月17日にサブプライムローンに端を発する大暴落に遭遇。2008年はベアー・スターンズショックの下落で多大な損失を被り、マーケットから退場せざるを得ませんでした。精神的なダメージから一時は真剣に引退も考えましたが、ここにきてようやく傷も癒えました。現在はデイトレに手法を変え、再び外国為替取引に挑戦しています。

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