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ロスカット あの日の涙 虹となる

バリュー・アット・リスク

VaRとは、"Value at Risk(バリュー・アット・リスク)"の略であり、1990年代にアメリカで開発されたリスク測定の手法である。

基本的な考え方は、過去の観測期間中の値動きの変動パターンが、将来も同じ確率で起きると仮定し、株価、金利、為替レートなどを確率分布に置き換えるというものだ。

一定期間ポジションを保有し続けた場合、失う可能性のある最大金額はいくらなのかをVaRの計算式によって導き出す。

たとえば、「保有期間1年に対してVaRは15万円である」という結果が得られた場合、それは「今後1年間の損失は最大でも15万円以内に収まる可能性がある」という意味になる。

VaRは、相場の変動が正規分布に従って動くという仮説を前提としている。

実際にレートは正規分布の枠内で推移することが多いが、厳密には僅かな確率で正規分布で想定されるよりも大きな変動が起きることがある。

これをファットテールと呼び、いわゆる「まさか」という事態がこれに当たる。

ブラックマンデーは一日で22%の下落率を記録したが、まさにファットテールに該当する出来事だった。

VaRの計算上では22%の下落率は数億年に1回の割合でしかおこらないとされていたからだ。

その後もギリシャショックとかリーマンショックとか似たような暴落がここ20年のうちに何回も起きている。

ファットテールのような想定外の出来事は、数億年に1回の割合どころか数年に1回の割合で起きているのだ。

つまり、通常の市場環境の下で成立する静的VaRモデルなど、混乱した市場の中ではまったく無力ということが証明されてしまったわけだ。

1998年9月に起きた米ヘッジファンド大手LTCMの破綻は、同社のVaRモデルが機能しなかったことが原因とされる。

金融デリバティブの専門家であり、ベストセラー「ブラック・スワン」の著者であるナシム・ニコラス・タレブは、市場の気まぐれな動きは物理学の手に負えるものではなく、正規分布などまったく役にたたないと主張している。

トレーダーは過去のヒストリカルシミュレーションに従って無意識のうちにポジションを取るが、そうした経験則をもとにした取引はいつか必ず通用しなくなる日が来ることを肝に銘じておかないといけないのだろう。

これは相場だけでなく、地震などの災害や交通事故のようなトラブルに遭遇する確率を正確に予測することができないことと似ている。

「そもそも未来において起こりうることとそうでないことを数理モデルを使って予測できるとする方が間違っている」とタレブは述べる。

人生には「まさか」という事態が本人が想定している以上に頻繁に起こりうるのだ。
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[ 2016/05/04 20:20 ] 資金管理 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

ジョンメリ

Author:ジョンメリ
こんにちわ。ジョンメリと申します。HNはLTCMのジョン・メリウェザーから頂戴しました。トレーダー歴約8年。2006年までは南ア通貨をスワップ金利目的で高レバレッジで運用。しばらく右肩上がりの相場が続き、わが世の春を謳歌していました。が、2007年8月17日にサブプライムローンに端を発する大暴落に遭遇。2008年はベアー・スターンズショックの下落で多大な損失を被り、マーケットから退場せざるを得ませんでした。精神的なダメージから一時は真剣に引退も考えましたが、ここにきてようやく傷も癒えました。現在はデイトレに手法を変え、再び外国為替取引に挑戦しています。

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