金融の世界では「高いリターンを望むなら、それに応じた高いリスクを負わなければならない」というのが常識になっている。
例外はない。
巷で蔓延っている「低リスクで高リターンな金融商品」は、ほとんどが詐欺と思って間違いない。
儲けようと思ったら、それだけお金を失う可能性があるということを覚悟しなくちゃいけない。
「ハイリスク、ハイリターン」な金融商品といわれるFXだが、高いリスクをとれば高いリターンが得られると思ったら大間違いだ。
高いリスクをとっても、それがリターンとして還元されないまま、大きな損失に繋がるケースもある。
現在、国内のFX口座はおよそ600万といわれている。
1年ごとに区切って、そのあいだに一度でも売買したことがあるという実働比率は、ここ数年で15%から20%程度だという。
従って600万人の2割弱、およそ100万人が実際に取引していると考えられる。
市場参加者の9割は負けているそうなので、10万人がかろうじて儲かっている計算になる。
その中で、月次ベースで1年間勝ち続けている人は、本人がとてつもない努力をしているか、あるいは生まれながらの天才かのどちらかだろう。
そもそもFXは、株のような経済的な生産活動に資本を提供する行為ではない。
未来の為替レートが上がるか下がるかに賭けるゼロサム・ゲームであり、賭けに勝った人が、負けた人からお金を奪う仕組みだ。
一部の人が何億と儲けているのは事実だが、競馬の万馬券と同じで、少数派の勝ち組トレーダーが存在していることは確率的に起こりうることで、大多数の人は、そんな幸運にありつけないばかりか、損をする人の方が圧倒的に多い。
為替のマ-ケットは、プロのディーラーでも、1年や2年では使い物になるレベルには届かず、5年くらいかかって、ようやく「なんとなく全体像が見えてくる」という世界だといわれる。
シロートが安易に手を出してすぐに稼げるようになるという金融商品ではない。
競馬やパチンコで真剣に生活費を稼ごうと思う人が少ないように、FXは「世界最大のカジノ」だと理解し、投機だと割り切って、娯楽のひとつとして参加するというのが正しい接し方かもしれない。
自分の給料の何倍も稼ごうと欲張っても、それだけの技術が備わっていなければ、ほとんどの場合は返り討ちに合う。
トレードで安定して稼ぐということは、すなわち自分の生涯の一部を相場に捧げるということだ。
それは、世界の投資家相手に真っ向から戦いを挑むことでもある。
普通の人は、そこまで真剣に対峙する必要はないだろう。
日々平穏に生きようと思ったなら、マーケットとある程度距離を保った方がいいのだ。
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