ロスカット あの日の涙 虹となる

売買履歴を検証する

将棋の世界では、一局を一つの「作品」と考え、後世に美しい棋譜を残すことにこだわる棋士達がいる。

その手順の流れの美しさ、攻防のバランスなど、多くの人の鑑賞に値する棋譜を作り上げたいという欲求は、純粋にいい将棋を指したいという向上心からくるものだろう。

あるベテラン棋士は対戦相手に悪手を指されると、局面が自分に有利な展開に進んだとしても、棋譜が汚れてしまうという理由から不快な表情を浮かべるという。

美しい棋譜かどうか判断基準は、将棋の弱い人には理解できない領域だ。

お互いの器量を認め合う達人同士の戦いだからこそ、その対局に勝敗を超えた“美しさ”を見出すことができるといえよう。

棋譜には、その棋士の知性、戦略、性格などが如実に表れる。

将棋の棋譜に相当するものが、トレーダーの売買履歴だ。

売買履歴にも“美しい”ものと“汚い”ものがあり、裁量トレードのスキルの優劣が反映される。

細かい勝ちトレードが多いが、1回につき負ける金額も大きいというのはビギナーに顕著な特徴だ。

いわゆるコツコツドカンといった取引は、“汚い”売買履歴の部類に入る。

“美しい” 売買履歴よりも、“汚い”売買履歴のほうが大きく勝つ場合がある。

例えば、ナンピンを繰り返し、含み損に耐えたあげく、最終的に大きな利益になったとしよう。

これは相当に“汚い”売買履歴に該当する。

負けなかったから結果オーライだとし、同じようなトレードを繰り返していると、いつか大きなドローダウンを食らうことになる。

結果的に負けてしまったが、あらかじめ決めておいたポイントで損切ったのなら、それは“美しい” 売買履歴として記録される。

“美しい”売買履歴のひとつの基準となるのは、勝った金額が大きいことでも、連敗が少ないことでも、勝率が高いことでもなく、一定のルールに従って利大損小のトレードが出来ているかどうかによる。

スキャルピングのような超短期売買であれば、勝率にこだわる必要があるが、通常のデイトレードであれば、リスクリワードレシオに比重をおいたトレードを心掛けなければならない。

よく「何連勝しました」とか表面的な数字に囚われているトレーダーもいるが、そのような連勝記録に拘りすぎると損切りのタイミングが遅れるという弊害があるうえに、トレードのパフォーマンスの質を低下させる原因にもなることを知っておかなくてはいけない。

手法に迷いが生じていたり、一時的な感情にまかせたトレーディングをすれば、必然的に売買履歴が汚くなる。

何らかの一貫性を持ったトレーディングを続けていれば、売買履歴にも整合性がでてくる。

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↑は損失を限定せずにトレードしたために典型的な汚い売買履歴になっている。

ルールを守って取引しないと、必然的に負けることになる。

収益を運任せにする緩慢でイージーなトレードを相場の神様は決して見逃さない。

将棋では対局の後に感想戦を行うのが恒例となっている。

対局者同士がたった今終えたばかりの勝負について、公の場で実際に駒を並べて検証するのだが、この作業によって棋士は自分の将棋の欠点や失敗を、他者の視点に立って冷静に分析できるのである。

トレーディングでも、その日の締めに売買履歴を見直すのは有意義な作業だ。

「ここでエントリーした根拠はなんだったのか」

「どうしてここで損切りできなかったのか」

取引している通貨ペアのチャートと照らし合わせながら、頭の中で今日一日のトレードを再現する。

売買履歴を吟味し、日々のトレードを客観的に検証することで自分の弱点が浮き彫りになってくる。

“美しい”売買履歴を意識することで、トレーディング技術は飛躍的に向上する筈である。
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[ 2016/05/31 22:46 ] 教訓 | TB(0) | CM(0)

勝ち負けの差

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今年のNBAウェスタン・カンファレンス・ファイナルはいつになく盛り上がった。

試合の結果は、ウォリアーズが第7戦でサンダーを下し、2年連続となるファイナルに進出した。

崖っぷちから3連勝し、決勝へコマを進めたウォリアーズも凄いが、一方のサンダーも強かった。

レギュラーシーズンでホームで僅か1敗のスパーズを破り、73勝という歴史的なシーズンを送ったウォリアーズをギリギリまで追い詰めた。

両チームとも絶対に負けられないという気迫に満ちたプレイをしていた。

現地で試合を見ていたら、感動して泣いてしまったかもしれない。

今年のNBAプレーオフは面白すぎて、トレードしている時間を削っても見たいというレベルになっている。

サンダーもウォリアーズもプレイヤーの能力的にはほとんど差がなかった。

勝敗を分けたのは、どれだけ優勝したいかという気持ちの強さにあったように思う。

おそらくトレードで成功するのも同じなのだ。

「本気で成功したいと考えているならば、誰でも成功できます」 by バン・K・タープ
[ 2016/05/31 21:33 ] NBA | TB(0) | CM(0)

買いの迷いは見送り、売りの迷いは即刻売り

「今、ドル円を買ってみたいが、どうしよう」

「いったん損切るべきところだが、もう少し我慢しよう」

売り買いのサインがでたとしても、それまでの経験則から迷いが生じることがある。

買わないで相場が上がって嘆くか、売ってしまってレートが戻ってしまうのを嘆くか。

右か左か迷ったときは、“後悔しないほう”を優先させるべきだ。

買いの迷いと言うのは、まだ行動を起こす前だから、見送っても金銭的な実害はない。

レートが思惑通りに急騰してしまった場合、心理的に悔しい思いをするだけだ。

一方、売りの場合は既にポジションを持っている訳だから、決断には直接損得が絡んでくる。

それが含み益ならまだ贅沢な迷いだが、含み損の場合は深刻だ。

損切りしようか迷っているうちに、ドンドン含み損が膨らんでしまい、自己嫌悪に陥ることはよくありがちなケースだ。

損切りを見送るという選択肢は時として命取りになる。

損切るべきか損切らざるべきかという迷いが生じたときは、一旦損切ってポジションをスクエアにしたほうが得策だろう。

その方が、後悔しないですむ場合が多い。

損切ってしまった後に戻ってくることがあるが、それは結果論に過ぎない。

どのポイントで損切るべきか、その条件を具体的な数値で設定し、相場に向かう際の自分のフォーメーションを決めておく。

今日やって成功したことを、明日以降もできるように戦術として磨きをかけておく。

どれだけ上手いトレーダーでも、必ず負けることがある。

何をやってもうまくいかず、普段の戦略がまったく機能しない時がある。

そこで大切になってくるのは“負け方”の極意だ。

マーケットの未来を予測する能力が高い人が勝ち続けているとは限らない。

生き残っているトレーダーは、総じて“負け方”が上手い。

ルールに従ってトレードできる強い意志を持つ人、すなわち自分との勝負に勝つことができる人、修正能力が高く、努力し続ける術を知っている人が優位に働くのは、相場に限らずどの世界でも同じだろう。
[ 2016/05/31 06:45 ] 教訓 | TB(0) | CM(0)

金勘定は負けの始まり

FXで稼いで100億円を溜める。

一生遊んでいけるだけの金を1年で手に入れる。

勝負事においては、どれだけ夢を見てもいい。

ただし、冷静さを失うのは禁物だ。

勝負事をしているときに冷静さを失いやすいのは、“負けが続いたとき”と“欲がでてきたとき”だ。

トレードで想定外の負けが続くと、それまでの平常心は失われ、理性は一瞬にしてどこかへ吹っ飛んでいく。

一方で、トレードが当たりはじめると、これまた冷静さを失うから困ったものだ。

儲かる喜びよりも、儲かり過ぎるがゆえに妙な不安に襲われる。

勝ったときの金のことを考え始めると気持ちにブレが生じる。

「これだけの金があったら1年はなにもしないで物価の安いタイの南の島で遊んで暮らせるな」

そんなことを考えはじめると、それまで自信を持ってトレードしていたのにもかかわらず、稼いだ金を失うのを恐れるあまり少額のロットでしかエントリーできなくなってしまう。

たとえば、プロ野球などで、5回までは完璧に抑えていたのに、6回から突然、制球を乱して打ち込まれるピッチャーがいる。

NBAでも、3ポイントの名手が何かの拍子でたて続けにフィールドゴールの確率が悪くなることがある。

いずれも試合の相手が優れていたのではなく、選手自身の心の問題である場合が多い。

この回を抑えれば勝ち星がつくとか、結果を意識しはじめるととたんに余計なプレッシャーが発生し、プレイそのものに悪影響を与えかねない。

とくにトレードは常に金銭欲と恐怖をコントロールしておかないと、損切りの判断が遅れたり、すぐに利確してしまったりと、目の前のやるべきことがおろそかになる。

自分自身、これだけ稼いだらいずれフェラーリが手に入るなとか、甘い考えで相場を張っていたら、おそらくとっくの昔に退場していただろう。

勝負事は、欲や情に溺れることなく、ただひたすら合理的に“勝ちに徹する”ことを心がけないと、せっかく手繰り寄せた運気や流れがスルリとその手から逃げていってしまう。
[ 2016/05/28 06:26 ] メンタル | TB(0) | CM(0)

今週の成績

5月23日 -10
5月24日 +18
5月25日 +110
5月26日 +102
5月27日 +37
                    total +258

週末のイエレン議長の発言で不用意に逆張りしてしまったのが悔やまれる。あの局面でミスをしなければ、今月はほぼ及第点のトレ-ドだった。
[ 2016/05/28 04:43 ] 今週の成績 | TB(0) | CM(0)

イエレンFRB議長の発言

日本時間午前2時半発表。

イエレン議長はハーバード大でマンキュー教授と対談し「今後数か月の利上げが適切となる可能性がある」との見解を示した。

この発言を受けて、マ-ケットはドル高円安に反応。

ドル円は110円台を回復した。

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ドル円5分足チャ-ト。

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ユ-ロドル5分足チャ-ト。

余計なことを考えず、素直に移動平均線のテクニカル指標に従って売買すれば儲かった相場だった。

トレンドが発生しているときに大きく利を伸ばすことができたら、おそらく今の100倍は稼げている筈だ。
[ 2016/05/28 04:35 ] 要人発言 | TB(0) | CM(0)

意地商いは破滅の因

トレードは、慎重にやっていればそんなに負けるものではない。

何もわからない状態からでも、売買を繰り返していくうちに、「あ、このパターンなら勝ちやすいな」とか勝利の法則がなんとなく見えてくる。

そのきっかけがつかめれば、ある程度の勝率は残せるようになる。

ただ、最初に決めたルールを忘れるほどののっぴきならない状況に追い込まれることが、多々ある。

地合いの変化によって、今までの勝ちパターンが通じない局面が必ずやってくるのだ。

その時に含み損を抱えたポジションを意地になって保有し続けるのが、初心者が退場する典型的なパターンといえる。

一番やってはいけないのは資金がゼロになってしまうことで、上手くいかなかったときにどこでやめるのかというルールをあらかじめ決めておくことが大切になる。

これだけ負けたから、今日中に絶対に取り戻そうという発想が一番危険だ。

冷静さを欠いているので、普段エントリーしない場所で入ったり、大きなポジションで入ったりと、勝ちに執着するあまり、さらに負ける確率の高いトレードをしてしまうのだ。

たとえ90%近い確率で勝てる手法があったとしても、逆に言えば10%は負ける。

負ける可能性が1%でもあった場合、意地になって全財産を注ぎ込んで勝負すれば、それまで積み上げてきた利益のすべてを吹き飛ばしてしまう。

まったく同じ高い勝率の手法を使ったとしても、負ける人と勝つ人がでてくる。

トレードの敗因の多くはメンタルの崩壊による自滅だからだ。

あらゆる勝負事は熱くなってしまったら負けなのだ。
[ 2016/05/22 04:59 ] メンタル | TB(0) | CM(0)

ラダック 北インドの旅

2006年の春先、中国を旅していたときのこと。上海の安宿で、たったいまラサから帰ってきたばかりという年配のバックパッカーと出会った。これからラサへ向かうかもしれないという小生の旅の行程を伝えると即座にやめといたほうがいいという。彼は古き良き時代のチベット世界を体験したいのなら「Ladakh」へ行くべきだと奨めてくれた。1974年まで外国人の入国は禁じられていたこともあり、古来からチベット仏教に根ざした独特の文化を形成してきたとされる現代に残された最後の陸の孤島。冬場は氷点下30度を越える厳しい寒さの為、交通が途絶えてしまっているらしい。行くとしたら、比較的気候が温暖な6月から8月にかけてがベストだという。デリーからバスで15時間以上揺られ、5000メートル級の山々を超え、苦労の末にたどりついたチベット文化圏は自分の想像をはるかにこえた桃源郷だった。

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レー王宮の中にあるドゥカン (勤行堂)にてお経を唱える高僧。多くの僧院は観光客に開放されている。

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スピトクゴンパでは砂曼荼羅を制作していた。祭りが終わり次第、砕いて川に流す。

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リゾンゴンパの中にある学校。ダライラマの写真が誇らしげに壁に掛かっていた。

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シェイ・ゴンパのドゥカン (勤行堂)。日本の仏像とはいささか趣が異なるユーモラスな表情をした大仏。

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レーの大衆食堂。お客の大半はワンタン麺のようなスープヌードルを食べている。

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ベッサ、ロモ、ニコンF4、ニコンF3などのオールドカメラの数々。ラダックの風景はデジタルではなくフィルムで残したいと思った。

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ザンスカール川。ラダックの中心地であるレーの町から36kmほどの下流でインダス川に合流する。

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ラダックを代表するチベット寺の一つであるティクセ・ゴンパ。15世紀に建設されたゲルク派のゴンパであり、100人以上の僧侶が修行を積んでいる。

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ゴンパは丘の上に建てられることが多く、壮大なラダックの大地を眺めることができる。ティクセゴンパから。

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高度が高く空気が薄いので、少し運動するとすぐに息切れしてしまう。

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シェイゴンパへ至る急な坂道。地元の人は息切れもせず軽がると登っていく。

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高度4000メートルでは森林限界を超え、赤茶けた台地がむきだしになっている。

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荒涼とした崖の上に聳え立つリゾンゴンパ。 蒼い空と白い僧院とのコントラストに圧倒された。
[ 2016/05/22 02:33 ] 海外旅行 | TB(0) | CM(0)

格差社会を脱出する為の手段としてのトレード術

「21世紀の資本」の著者であるトマ・ピケティによれば、「資本主義経済は放置しておくと、一握りの資産家に富が集中することになる」と述べている。

経済格差が広がると、大衆の「知」の劣化が加速する。

人間というものは、貧しくなればなるほど自分の不遇を呪い、他人の不幸に喜びを感じるようになる。

たとえば、昨今の芸能人や政治家のスキャンダル叩きは、人々が日常を生きることで生じるストレスのはけ口となっている。

アメリカ大統領にトランプのような候補者がでるというのも、大衆の「知」の劣化が進んだ証拠だろう。

彼を支えているのはアメリカの白人の貧困層で、しかもかなりの右寄りの人達であることはよく知られている。

ISISの台頭も、貧しく虐げられた人々の復讐劇とも感じられなくはない。

ピケティは、「資本主義そのものに経済的格差が内包されており、その格差を是正するためには、資産への累進課税が必要であり、しかもグローバルに課税しなければ意味がない」としている。

累進課税とは、税金の対象となる資産や仕組みが多ければ多いほど負担する税金が多くなる仕組みのことだが、裕福層に累進課税をかければ、彼らは躊躇なくタックスヘイブンの国や地域へ資産を移動するだろう。

現実問題として、もはや政府に期待したり、他人任せにして格差を解消しようとしても、何ら解決策にはほど遠い。

まずは格差を事実として受け入れ、自分がどの程度の生活水準を維持していきたいのか明確にすることが重要だ。

やりたいことがあり、お金が必要なら、いかに効率よくお金を稼げるかを考える。

もちろん、お金や資産だけが人生のすべてではない。

むしろお金や資産に執着しない生き方を選択した人たちのほうが、日々の生活が充実していることもある。

人のことは気にせず、自分が満足して生きることができるかどうかが基準になる。

最もリスクが低くて、リターンが高い投資は、自分への投資だ。

需要があり、他人にはできない知識や技術を身につけることによって、いくらでも稼げるようになる。

たとえば、それがトレーディングであったなら、その技術を徹底的に磨くことに専念する。

ピケティは「21世紀の資本」の中でいみじくも次のように語っている。


格差の収斂に向かう力は、知識の普及と訓練や技能への投資だ。


つまり、必要な知識を学び、高度な技術を身につければ、格差社会においても、どん底から抜け出し、トップを目指していくことは十分に可能だということ。

ここで米国有数の投資家であり、「マガジン・オブ・ウォールストリート」誌の創刊者でもあるリチャード・ワイコフの有名な言葉を紹介する。


トレードも他の仕事と同じで、長く携わるほどスキルは上達する。「額に汗することなく近道をする人は誤った道を行くことになる。


自分という“資産”に対して辛抱強く技術的な投資を継続して行えば、いずれ市場平均を上回るパフォーマンスを達成し、個人的に格差問題を解消することも夢物語ではないのだ。
[ 2016/05/21 19:20 ] 雑惑 | TB(0) | CM(0)

ウォール街のアルゴリズム戦争

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少し前にグーグルが開発したAIの「アルファ碁」が、世界最高峰の囲碁の棋士を破ったことが話題になったが、マーケットでは以前からコンピューターによるシステムトレードが盛んに行われている。

現在のアメリカを中心とする世界の株式マーケットでは、マイクロ秒単位で応答できる超高速システム、HFTが市場取引のほぼ半数を占めているといわれている。

そういった業界内の内幕を暴いたマイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ」が2014年に出版され、市場関係者の大きな注目を集めたことは記憶に新しい。

本書では、こうした背景事情をより深く掘り下げ、なぜHFTが台頭してきたのかという歴史的背景や、その中で大きな役割をはたしてきた複数の天才たちの人間模様を余すことなく描き出している。

1980年代、まだ株式売買が仲買人を通じて行われていた時代、当時のNYSEやNASDAQといった伝統的な取引所では、その取引の大部分が手作業で行われており、投資家から高い仲人マージンを搾取していた。

このような不合理な状況に愕然としたレビンは、自身の持つ卓越したプログラミングのスキルを駆使し、こうした既存の巨大権力に立ち向かうことを決意する。

富や名声、権力に無頓着な若き天才プログラマーは、たった一つの信念に従って行動していた。

それは「コンピューターを通して世界を変える」こと。

彼の最終的な目標は、「トレーダーができるだけ安い手数料で直接取引できるグローバルな環境を構築する」ことだった。

レビンの開発した「コロケーション・サービス」は、現在、世界中の取引所で導入されている。

もし彼がいなかったら、我々一般庶民がスマートフォンひとつでトレードすることなんて実現不可能だったかもしれない。

一人の天才プログラマーの出現によってマーケットの構造は劇的に変わったが、コンピューターによるアルゴリズム取引が人による裁量トレードを凌駕し新たな問題を引き起こすことになるとは、さすがのレビンも夢にも思わなかったに違いない。
[ 2016/05/21 17:42 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)
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