ロスカット あの日の涙 虹となる

アップルを創った男の物語

アップルのカリスマCEOであったジョブスの“非公認”の伝記。


スティーブ・ジョブズ-偶像復活スティーブ・ジョブズ-偶像復活
(2005/11/05)
ジェフリー・S・ヤングウィリアム・L・サイモン

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熱狂的なMac信望者が本書を読めば、ジョブスは決して優れた経営者ではなく、たいした設計技術もなく、部下をしかりつけてたくみに財をなした男として描かれていることに衝撃を受けるだろう。

とりわけ可笑しかったのは、初期アップルのエンジニアだったジェフ・ラスキンの彼に対する愚痴だ。


「他人の脳みそを盗むのはジョブズにとって普通のやり方さ。まず人のアイデアを鼻であしらっておいて、その1週間後には、素晴らしいアイデアを思いついたなんていいながら戻ってくる。そのアイデアというのは、もちろん1週間前に誰かがジョブズに話したアイデアなんだ。我々はジョブズのことを現実歪曲空間と呼んでいたのさ。」


そうした振る舞いは、やがて自らが起こした会社を追われるはめになる。

リベンジとして立ち上げたネクストステップも失敗に終わってしまう。

しかしながら、10代の頃から「一家に一台PCを所有する時代が来る」と予言した彼は、やはり特筆すべき先見の明があったのだろう。

そして、ジョブズ本人が他人に何と言われようとも自分が成功するという未来をまったく疑っていなかったところが凄い。

デザインに対する過剰なまでの美意識も、経営者としての範疇を超えている。

その執念が今日のアップルの成功に繋がっていく。

とくに復帰してからの功績は、彼の名声を一段と高めることとなった。

かっての社員で、後にBe社を設立したジャン・ルイ・ガセーは言う。


「民主主義に沿ってたんじゃ、素晴らしい商品なんて創れっこない。闘争本能の固まりのような独裁者が必要なんだよ。」


初期のアップルでは、社員が「週80時間、それが嬉しい」というTシャツを着て働かされたという冗談のようなエピソードもある。

アップルやジョブズに関してはいろいろな伝説が語られてきたし、既に多くの出版物があったが、ノンフィクションとして出色の出来だと思う。


「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」


彼は自分のやりたいことを発見し、そして成功した。

これほど幸福なことはない。

すっかり有名になったスタンフォード大でのスピーチの最後の台詞。


「Stay hungry,stay foolish」


なんとジョブズらしい言葉だろうと今さらながらに思う。

波乱万丈の人生を送った彼だからこそ説得力がある。

ちなみにジョブス本人は、この本に対してあまりいい印象を持っていないようだ。
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[ 2018/02/06 04:41 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

これでわかったビットコイン

投資家向けのビットコイン関係の本は多く出版されているが、ほとんどがユーザーの射幸心を煽る内容のモノばかりで、仮想通貨市場の仕組みをわかりやすく解説している書籍はいがいと少ない。

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本書はビットコインの入門書でありながら、ビットコインの将来性についてネガティブな発言が目立つのが興味深い。

著者の齋藤氏はビットコインの設計システムについて批判的で、「最初のボタンをかけまちがえている」とまで評している。

ビットコインの発行量の上限は2100万BTCと最初から決められているが、そうすることで供給量が減るようにして、インフレを牽制し、デフレが起こりやすいように設計されている。

もし開発者の思惑どおりに進展すれば、その希少性により貨幣の価値が上がり、一部の権力者が人々を支配しやすくなる危険性を秘めているという。

また、ビットコインが実際に社会で使われだしたりすると、その脆弱性を突き、私欲に基づいた攻撃が行われ、壮絶なサイバーテロ社会が訪れかねないと警告している。

もしかしたら、今はその入り口の段階にさしかかっているのかもしれない。

どんな新しい技術も、社会に浸透していく過程でインフラが整備され、生活を支えるツールとして育っていく。

ビットコインをはじめとする仮想通貨も、政府の中央銀行が発行していない通貨として、さまざまな問題とぶつかりながら、徐々に既存の経済システムを変えていく予感がする。

今回のコインチェックの盗難事件も、長い目で見れば乗り越えるべき障害のひとつであり、30年後の未来には見たことも聞いたこともない新しい仮想通貨が出回っているに違いない。
[ 2018/02/02 00:32 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

トレ-ド本の紹介

日本にはFXに関して書かれた本はたくさんある。

しかし、名著として後世にまで読み継がれるような作品はいまのところ皆無といっていい。

「FXで○○○円儲けた私の方法」とか、いかにも売らんかなといった投資家の射幸心を煽るようなタイトルも目立つ。

残念なことに、著者は本当にトレードをして収益をあげているのかと信憑性を疑うような内容の本も少なくない。

実際、こうしたトレードの本を執筆している人のなかにはFXの収益で生活しているのではなく、メインの収入は印税や講演といったケースも珍しくないのだ。

FXに関する本を読みまくって、どんでもなくトレーディングが上手くなったという話は寡黙にして知らない。

まったく本を読まないで勝てているトレーダーさんも多いし、本を読んだら勝てるというものでもない。

だが、玉石混淆あるなかで、やはりこれだけは読んでおいたほうがいいという定番というべき書籍も存在する。

ラリー・ウィリアムズの短期売買法、ピーター・リンチの株で勝つなど海外の名著と呼ばれる投資本には著者であるトレーダー本人の矜持が漲っている。

優れた投資本はトレーディングのヒントになるだけではなく、人生の指南書としても読むに値するものだと確信している。

ここでは独断と偏見で、これからFXを始めようとする皆さんにとくに勧めたい良書を厳選してリストアップしてみた。


勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)
(2012/10/26)
梅原 大吾

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「10年に一人の天才」と称され、日本人で初めてプロ・ゲーマーになった梅原大吾氏の初の著作。

僕は格闘ゲームはやらないので、彼の本当の凄さはわからない。

だが、ゲーム業界に精通していなくても、そのオーラは行間から匂い立つように伝わってくる。

本書は辣腕トレーダーのあいだで極めて評価が高い。

それは、梅原氏の真摯なゲームへの取り組み方、考え方、上達の仕方、変化への対応がそのままトレードの現場でも応用できるからだろう。

FXとは為替相場でいかに収益をあげるか他人と競い合うゲームである。

ゲームで「勝つこと」と「勝ち続けること」は異なると彼はいう。

運よく「勝つこと」ができても、たしかな実力がないと「勝ち続けること」はできない。

「勝ち続けること」ができるのは、ただひたすら常人の域をこえて練習しつづけることができる強い意志の持ち主なのである。

試合前のインタビューで「自分では負ける要素ないと思ってるんで」と言い放てるメンタルの強さ、自信は、圧倒的な練習量に裏付けされている。

世界の頂点に立つということ、究極の成功を収めるにはじつはたったひとつのことにかかっている。

つまり、どれだけ真剣にそれを欲しているかということ。

梅原流にいえば、FXで勝てないのは、単純に勝てるようになるまで努力していないということになる。


デイトレード―マーケットで勝ち続けるための発想術デイトレード―マーケットで勝ち続けるための発想術
(2002/10)
オリバー ベレス、グレッグ カプラ 他

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言わずと知れたベストセラー。

FX、株を問わず、この本を奨めるベテラントレーダーは多い。

10年以上前に出版されたものだが、現在でも決して古さを感じさせない。

手法を真似ても、勝ち続けるトレーダーにはなれない。儲かるために何をすればいいではなく、同じ失敗を繰り返さないためにどうすればいいのか。

何をもって「上手くいった」といえるトレードなのか、心理面から考察していく。

マーケットに臨む心構えや、損切りの重要性、毎日記録をつけることなど、著者自身が自分の失敗を振り返り、トレーダーがスキルアップしていく過程で欠かさない要素、改善すべき点を羅列している。

具体的な手法には言及していないことに物足りなさを覚える人もいるかもしれないが、短期売買のセオリーが文学的な筆致で綴られており、すべてのデイトレーダーにとって必読しておくべきバイブルといってもいい良書。


ツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学 (PHP新書)ツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学 (PHP新書)
(1997/07)
谷岡 一郎

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著者は日本におけるギャンブル研究の第一人者として知られる。

賭け事全般において最も重要な概念である「期待値」とその「排除率」について、具体的な数値をあげながらわかりやすく解説している。

ギャンブルでずっと勝ち続けることは不可能であると書いておきながら、なおも著者がギャンブルに魅せられているところが面白い。

『ツキなどというものは存在しない。存在するのは統計上のゆらぎにすぎない』と筆者はいう。

本書で述べられている確率論、統計的事実を知るのと知らないとではトレードに関するアプローチも違ってくるだろう。

書店に山積みにされているへたな投資本よりも、何倍も役立つことうけあい。


ルービン回顧録ルービン回顧録
(2005/07/26)
ロバート・ルービン、ジェイコブ・ワイズバーグ 他

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元ゴールドマン・サックス会長で、米財務長官を歴任したロバート・ ルービンの回顧録。

あのウォーレン・バフェットも株主へ向けて推薦図書に指定している名著。

GSのトレーダー時代に裁定取引で大きく損失をだして以来、ルービンは自分の相場観をまったく当てにしなくなり、マーケットではあらゆる事柄が起こりうるということを肝に命じたという。

「世間において常識とみなされていることに対して、疑問を呈する勇気を忘れてはならない。

健全な猜疑心こそ、ものごとの裏に潜む本質を見極める近道である」。

絶えず自分の考えが間違っていないか疑ってみる。

どれだけ儲かるかではなく、まずどれだけの損失に耐えられるか。

常に最悪のケースを想定して相場を張ること。

トレーダーとして成功する最大の秘訣は、マーケットの予想をすることではなく、そのリスクを正確に見極めることだと説く。人生において確かなものは何もない。

物事はすべて確率論として見るべきで、絶対に正しいということはあり得ない。

いわゆる蓋然的思考“Probabilistic thinking”、それが彼のベースにあり、全キャリアにおいてもその哲学が貫かれている。

特筆すべきは、米財務長官として中枢ともいうべき政治的ポストについてからも、トレーダー的な裁量的判断で意思決定をしていた点である。

金融危機を準備し、シティを破綻の危機に追い込んだと批判されるルービンだが、彼が先物取引の解禁などの金融緩和策を施行しなかったら、今こうして我々がFX取引を行える環境になってなかったかもしれない。


世紀の相場師ジェシー・リバモア (海外シリーズ)世紀の相場師ジェシー・リバモア (海外シリーズ)
(2001/06)
リチャード スミッテン

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今を遡ること80年前、1928年の世界大恐慌のさなかに、漫然と空売りを仕掛け一人勝ちを収めた稀代の投資家ジェシー・リバモア。

彼の投資哲学は現代でも十分通用するばかりか、マーケットで退場を食らわないための重要なエッセンスが散りばめられている。

だが、幾多の修羅場を潜り抜け、相場のイロハを知り尽くしたにもかかわらず彼は破産してしまう。

そして、最後はピストル自殺で自分の人生に幕を下ろした。

ホテルの一室で「自分の人生は失敗だった」と書かれた遺書が悲しみを誘う。

リバモアほどの相場師がなぜ晩年になって破産に至ったのか、その詳細が明らかにされていないのが気になる。

やはり、死ぬまでこの世界で勝ち続けるのは至難の業ということか。

トレーダーとして生計を立てているのならぜひとも読んでおきたい味わい深い伝記。


賭けるゆえに我あり賭けるゆえに我あり
(2009/08/26)
森巣 博

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著者は30余年のキャリアを誇る生粋のギャンブラーであり、カジノで勝つ為のマインド、お金にまつわる感情のコントロール、その規律を守るのがいかに難しいかというギャンブルにおけるさまざまなエピソードが面白おかしく流麗な筆致で綴られている。

氏の説く、賭人の器量を決める四大要素とは、

・勝ち逃げがてきること。

・上手な負け方を学ぶこと。

・ツラが取れること。

・勝負度胸があること。

・資金管理ができること。とある。

「もしゲーム賭博で生き残るための必要な因子をひとつだけ挙げろと問われれば、迷わずにマネー・マネージメントと答える」

「博奕には必勝法や攻略法は存在しないし、もし本当にあったとしたら誰にも売らず自分で大儲けする」

これなどよくトレード本で述べられているセオリーとほとんど同じだ。

なによりも興味をそそるのは、カジノで大金を得たにもかかわらず、それをきっかけに地獄への扉をひらいてしまった人達の逸話が数多く紹介されていること。

破産した人のエピソードは悲惨でありながら、どこか滑稽で笑えてしまうところがある。

そんなカジノで負ける人々を突き放すようにバカだと切って捨てる森巣氏は残酷なまでにギャンブルの世界を知り尽くしている。


賭けの考え方 (カジノブックシリーズ)賭けの考え方 (カジノブックシリーズ)
(2011/08/12)
イアン・テイラー、マシュー・ヒルガー 他

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基本的にポーカーでいかに勝つかという内容だが、トレードに共通する部分は多いし、カジノに興味がない一般の人が読んでも十分楽しめる内容になっている。

トレードに限らず賭け事には偶有性はつきものであり、自分がどんなに正しい選択をしていても、不確実性の波によって損失がでることをがを理解すること。

つまり、短絡的な結果の良し悪しで判断しないこと。想定内のリスクとして受け入れ、一時的な感情にまどわされないこと、などゲームに挑む際の心構えが飾らない筆致で綴られている。

ポーカーやトレードを上手くプレイするために求められる問題処理能力は、ほかの人生でも生かすことができるという著者の言葉には素直に頷ける。

辛口で知られる経済評論家の山崎元さんも「週刊ダイヤモンド」の書評で、「直近数年で断然一番の推薦図書」と絶賛しているのも納得。



ヒクソン・グレイシー 無敗の法則ヒクソン・グレイシー 無敗の法則
(2010/09/25)
ヒクソン・グレイシー

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400勝無敗の格闘家ヒクソンが自伝的要素を絡めた人生観を綴った本。

格闘ファンにだけ独占させるのはもったいないくらい内容は充実している。

「自分の恐怖を理解したことで、確かに私の人生は変わった。」 恐怖というものの正体をどう見極め、どう向き合うか。恐怖は、相手の正体が判れば消える。

だから、恐怖を克服するために最も重要な方法とは、自分の恐怖がどこから生まれたのかを、しっかり理解すること。常に最悪を想定し、その状態になった時には冷静に対処できるように自分を鍛練する。

「恐怖」をコントロールすることができれば「力」になる。ヒクソン常勝の背景には、このような気づきがあった。

彼は投資家マーク・ダグラスが説くところ「ゾーン」の領域に到達したように感じる。

格闘家にとって体力や技術も大切だが、なによりもメンタル、「勝者の心構え」が大切だとヒクソンは説く。

「まず生き延びろ! 儲けるのはそれからだ!」 ジョージ・ソロス氏の有名な投資の箴言だが、本書の帯にも“大事なのは「勝つ」ことではなく絶対にまけないこと”とある。

この言葉をあえて投資家に向けるならば、“大事なのは儲けることではなく、マーケットで生き延びること”とおきかえてもいいかもしれない。

以下、ヒクソン語録。

「人生に「幸運」はない、あるのは「戦略」だけだ」

「人生で重要なのは、知ること、気づくこと、心を開いて向き合うことだ。敗北も悪い経験も、すべて強くなるための力に変えられる」

「やるべきことはをすべてやり、完璧に準備が整い、今日が勝負の日ならこう言うしかない。怖がる理由は一つもない。大事なのは力をすべて出し切ることだ。肝心なのは、立ち上がってもう一度挑戦しようとすることだ」

「意思の力は、感情とは関係なく、論理的に考えることから生まれる」

「なりたいものになれるチャンスがあるなら、少なくとも挑戦してみるべきだ。しかし残念ながら、ほとんどの人が今の自分の枠を超えようとせず、何も手放さないまま安全な場所に逃げ込んでいる」

格闘家として決して恵まれない小さい体の彼がなぜ400勝無敗だったのか、その理由がわかったような気がした。

リスクを恐れず絶えず攻撃的に挑み続けるトレーダーにとって座右の書にもなりうる現代の“五輪書”。


羽生善治の思考羽生善治の思考
(2010/11/29)
羽生 善治

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勝負師という点ではトレーダーも棋士も同じ土俵で戦っている。

本書は若くして頂点を極めて、今なお第一人者として走り続ける羽生善治棋士の発言をまとめたもの。

ページ数こそ薄いが、トレーディングのメンタルトレーニングにも通じる内容であり、心に染み入る言葉がいくつもあった。

以下、抜粋。

“いかに戦うか”は大局観にかかわるが、その具体的な戦略は事前研究が決め手になる。事前にしっかり準備して万全の態勢で対局に臨んでくる人は手強い人だ。

一番いいと思えるものを簡単に、単純に考えることができれば、逆境からの突破口を見出せる。

山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」の方が、重要なことだと思います。

考える材料が増えれば増えるほど、“これと似たようなことを前にもやって失敗してしまった”というマイナス面も大きく膨らんで自分の思考を縛ることになる。そういうマイナス面に打ち勝てる理性、自分自身をコントロールする力を同時に成長させていかないと、経験を活かし切るのは難しくなってしまう。

「プレッシャーはその人の持っている器に対してかかるものだ。器が大きければプレッシャーを感じることがないはずだ」と自分に言い聞かせています。

大事なことは、ミスをしたとしても次のプレーを考えることなんです。いつまでも「ああ、ミスしてしまった」とひきずっていると、その思いにとらわれてプレーの足が引っ張られる。時間はどんどん流れていくのだから、次の展開、その次の展開と進んでいかなければいけない。これは、よいプレーをしたときも同じで、自分のプレーに酔ってはいけないんです。よいプレーも悪いプレーも、すでに過去のプレーになっているんだから。冷静になって次のベストプレーをしていかないと駄目ですね。

勝負の世界では、「これでよし」と消極的な姿勢になることが一番怖い。常に前進を目ざさないと、そこでストップし、後退が始まってしまう。

その他にも、ツキや運にとらわれず自ら切り開いていく力、リスクのとり方、反省はしても後悔しないこと、結果がでないときこそ変化させたほうがよいことなど、さすがと唸らされることばかりだった。

将棋のトップクラスまで登りつめただけあって、やはりどの言葉も重く説得力がある。

もし羽生棋士がトレーダーという道を選んでも必ずや成功しただろうという凄みを感じさせる。

ありきたりな投資本を読むよりはるかに刺激になる。

彼は頭が抜群にキレるだけでなく、その棋風も積極的にリスクを取っていくスタイルで、まさに生粋の勝負師なのであった。
[ 2018/01/31 19:47 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

知ってはいけない隠された日本支配の構造

矢部宏治氏による2017年のベストセラー本。

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本書は、アメリカで公開された公文書に基づいて、タブーともいえる事実を明らかにしている。

つまり、日米安保条約と日米地位協定、日米合同委員会で取り交わされる密約によって、米軍は日本を基地として自由に使う権利を有するだけではなく、自衛隊を指揮する権利を有していること。

戦後の日本は、これらの法的根拠によって、ベトナム戦争やイラク戦争などに後方支援という形で参加してきた。

従来、憲法9条と集団的自衛権は憲法上認められないという解釈が、自衛隊を直接戦争に参加させる障害になっていたが、安倍政権が行った集団的自衛権の容認によって、自衛隊は名実とともに米軍の指揮系統の中で行動する軍隊になろうとしている。

著者が指摘するのは、戦後から今日に至るまで、アメリカにとって日本は属国のような関係だったということ。

いくら軍事予算を増加したところで、それはアメリカ軍に貢いでいることと変わらない。

右翼と左翼で世論が真っ二つに割れている日本だが、この事実を無視して建設的な議論はできないだろう。

日米の力関係は、経済指標にも反映されている。

日本の雇用統計はほとんど無視され、アメリカの雇用統計の結果によって、日本の株価や為替は影響を受けるのだ。
[ 2018/01/30 07:40 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

生涯投資家

アマゾンでベストセラーになっている村上世彰氏の初の著作。

ビジネス書や経営学としての側面だけではなく、一度どん底を経験し、復活していく過程をリアルに描いた自伝としても非常に読み応えのある内容だった。

ありきたりな薄っぺらいコンテンツの投資本が多いなか、本書は数少ない良書といえるだろう。

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世間では村上氏のことを“インサイダー取引で捕まった人”というネガティブな印象が強いかもしれない。

かって阪神を買収しようとして失敗したのも、投資家に対する世論の反発が一因だった。

村上氏が検察に捕まったときに当時の星野監督から「天罰が下った」と言われたらしい。

日本ではいまだに株でお金を儲けている人に対して少なからず偏見があるが、そういう人たちにこそ是非本書を手に取ってもらいたい。
[ 2017/07/16 09:53 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

プライスアクショントレード入門

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巷で評価の高い本だが、文章はバラバラに散らばったパズルのように難解で、読み手にはある程度のトレードの経験と読解力が要求される。

最後まで読み進む意志と根性がある人には、本書から有益な情報とアイディアを得られるだろうが、正直もう少しわかりやすく書けなかったのかとも思う。

内容は、移動平均線を使用したテクニカル分析で、ファンダメンタル分析については全く言及していない。

テクニカル分析は、ロウソク足と一本の移動平均線のみ。

しかし、しつこいほど丁寧に解説しており、筆者がどのような根拠に基づいてエントリーポイントを吟味しているのがわかるようになっている。

キャリア20年のベテランとあるが、筆者が年間でどのくらい稼いでるのか気になった。
[ 2017/03/13 00:21 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

ゲーム理論の思考法

トレードで勝つ為に知っておいて損はない思考法のひとつに、ゲーム理論がある。

ゲーム理論を簡単に説明すると、あるプレーヤーが意思決定をする際に、他のプレーヤーが自分の行動にどう対応してくるかというか予想したうえで、自分にとって最も有利となる行動を決定するというものだ。

そこで最悪の場合の損失が一番少なくなるモノを選択するという戦略をミニマックス戦略と呼ぶ。

英語では「mini-max starategy」と表記される。

ちなみに想定される最小の利益が最大になるように決断を行う戦略はマクシミン戦略という。

元々はハンガリー出身の数学者であるフォン・ノイマンが中心となって考え出された理論であり、最近では将棋、チェス、オセロなどといったゲームをコンピューターに思考させるためのアルゴリズムとして用いられたりしている。

ミニマックス戦略は最悪の場合に被るダメージが最小になるという考え方なので、FXなどのゼロサムゲームにおいても非常に有効な手法になる。

トレードを始めたばかりの初心者ほど利益の方にばかり目が行きがちになるが、実際は損失を少なくする方に注力した方が成功しやすい。

多くの人はチャートを食い入るように見て必死にエントリーポイントを探すのだが、損切りしたり利確したりするポイントは割といい加減に設定している場合が多い。

負けてしまう典型的なパターンは、損切りが遅れ、損失が証拠金の許容量を超えてしまいやむを得ず強制ロスカットになってしまうことだ。

そのようなやり方では長期的に安定した利益を獲得するのは難しい。

トレードをする前には、必ずリスクリワード比率を念頭に置き、絶好のチャンスが巡ってきたときだけエントリーすることを心掛ける。

ミニマックス戦略を実行するためには、エントリーポイントを慎重に吟味するときと同じように、損切りや利確ポイントについても明確な出口戦略を持っていなければならない。

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「ゲーム理論」をかじると、自分のトレードスタイルの欠点があらわになり、客観的に戦略を見直すことにも繋がる。

ゲーム理論に興味を持ち、少しでもトレードに活用したい方は本書を熟読することをお薦めしたい。
[ 2016/12/01 03:40 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

情報リテラシーの大切さ

日本には、役所に申請をするだけで数千円から100万円以上をゲットできる制度がたくさんある。

教育費、住居費から、医療、失業、出産、育児、介護、被災時まで、人生の節目や困ったときには必ず給付金・助成金を受け取れるありがたいシステムになっている。

あまり知られていないが実は日本の給付制度は世界一ともいわれている。

しかし国や市区町村の広報不足で知られていないのも事実であり、自分で知ろうとしないと誰も教えてくれない。

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本書では、おもな国の制度を網羅し、その金額、支給要件、届け出先を見やすく掲載している。

じつは今月の半ばごろまで母親が癌の手術で入院していた。

かかった費用は手術代が629230円、麻酔代が127570円、入院料が30600円などトータルで1288400円ほどだったが、国民保険の加入者が70歳以上であれば1割負担でいいことと、後期高齢者医療被保険者証を提示することで39720円まで減額できた。

後期高齢者医療被保険者証はこちらから申請しなければ適用されなかった。

本書で得た知識が役にたったことはいうまでもない。

しかし、今後は高齢者が多くなるにしたがってこの医療保険制度が維持できなくなることが懸念されている。

おそらく自分が高齢者になり病院のお世話になる頃は、現在の制度は崩壊している可能性が高いだろう。

来たるべき老後の終活のために今から準備をしておかなくてはいけない。
[ 2016/10/27 14:31 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

小さく儲けろ!世界を変えた人と組織の成功の秘密

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「取り返しがつくうちに、物事を見直して素早く学習することが、成功への道である」と著者であるピーター・シムズは述べる。

変化が速い今の時代に、机の前で大きなプロジェクトを計画していても決して成功できない。

成功している人達や組織は、失敗を恐れず思いついたアイディアをすぐに実践している。

スターバックス、アマゾン、P&Gなど、成功した企業は「小さく儲けて、多くの失敗をし、素早く修正する」というリトル・ベッツ方式を繰り返している。

いいと思ったらとりあえずやってみる。

駄目ならすぐ諦めて撤退する。

傷口が広がらないうちにすぐに軌道修正すれば、それは失敗ではなく貴重な学習体験になる。

トレードでも同様のことがいえる。

大事なのは大負けしないことであり、小さい勝ち負けを繰り返しながら上達していく。

小さく儲けるトレードは、バットを短く持ってヒットをコツコツ当てにいくスモールベースボールと似ている。

逆転満塁ホ-ムランを狙わない野球。

そのような野球はつまらないかもしれない。

だが、最終的に高い勝率を残せるのはそういう機動力を重視した野球をするチームだ。

トレードでも何度もベットできるよう、小さく賭ける。

駄目だと思ったらすぐに損切りする。

すぐには大儲けできないが、それができるトレーダーが最後まで退場せずに生き残る。
[ 2016/09/13 03:35 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)

西原理恵子の太腕繁盛記―FXでガチンコ勝負!編

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人気漫画家の西原理恵子さんがFXに挑戦し、虎の子の一千万円を溶かすハナシが面白おかしく描写されている。

これを読めば儲かるという本ではなく、反面教師として読んでくださいという本。

西原さん曰く「FXは一玉4万円のパチンコ」とおっしゃっているが、損した人だからこその至言だと思う。

まぁ基本は博打だよね。

大損をして泣かないためにFX初心者は一読しておいて損はない。
[ 2016/09/09 05:16 ] 書籍 | TB(0) | CM(0)
プロフィール

ジョンメリ

Author:ジョンメリ
こんにちわ。ジョンメリと申します。HNはLTCMのジョン・メリウェザーから頂戴しました。トレーダー歴約8年。2006年までは南ア通貨をスワップ金利目的で高レバレッジで運用。しばらく右肩上がりの相場が続き、わが世の春を謳歌していました。が、2007年8月17日にサブプライムローンに端を発する大暴落に遭遇。2008年はベアー・スターンズショックの下落で多大な損失を被り、マーケットから退場せざるを得ませんでした。精神的なダメージから一時は真剣に引退も考えましたが、ここにきてようやく傷も癒えました。現在はデイトレに手法を変え、再び外国為替取引に挑戦しています。

賢者のつぶやき